長男の発達・言葉の遅れと我が家の決断~障害福祉サービスを利用するべき?

我が家の長男は、もともと言葉の遅れがあると感じていました。親がひいき目に言葉を聞いてみても、何を言っているのかよく分からないことが多く、何を要求していて、どう思っているのか…ほとんど伝わってきませんでした。

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3歳児健診で長男の発達・言葉の遅れを指摘され…

お友達と遊んでいても、息子の思いはやはりお友達にも伝わらず、うまくやり取りができないことで苛立ち、ケンカになってしまうことがよくありました。
それを見て、親として息子を注意したり諭したりしますが、息子自身は叱られていることは分かっているものの、多分今後自分はどうしたらいいのか、よくわかっていなかったと思います。そしてそのことが積み重なっていくうちに、人との関わりを避け、だんだん一人で遊ぶことが増えてきてしまい、見ている親としてもとても切ない気持ちになっていました。

そして3歳児健診の時、発達で気になることとして言葉の遅れを特記し、実際に言語聴覚士の方と面談しました。言語聴覚士の方が「赤はどれ?」「アンパンマンはどっち?」などと質問をします。慣れない場所や人にそわそわしている息子は、身振りや言葉で答えず、答えと考えているであろう方向を見るだけでした。
私は「答えは分かってはいるようなんですが…」というと、「それをうまく伝えられないこと自体、この時期としては言葉の遅れと判断します」といわれました。分かってはいたものの、重いものがズーンとのしかかる思いがしました。

長男が「障害者」扱いになることへの抵抗感

夫が転勤族だったこともあり、夫そして自分の実家から離れた地で暮らし、初めての子育てを夫婦で力をあわせて頑張ってきました。長男が3歳当時、弟である次男は1歳4か月…下の子にも手がかかる時期でした。
私が仕事で産前休暇に入った日に夫の仕事の異動がきまり、妊娠後期に引っ越しをしました。今まで住んでいた地とは離れた場所だったため、土地勘も友人も無く、しかも晩秋の出産であったこと、さらに産後の調子が悪かったこともあり、しばらくの間引きこもりがちな生活をしていました。
そして長男1歳で2人目を妊娠、つわりが重く長かったので、さらに引きこもり生活が続き…私は長男にとってとても大事な時期に、外で遊ばせてあげたり、お友達と交流させたりする機会を奪ってしまいました。

また、私自身も体調不良があったし、気晴らしできる場もなく、心が沈みがちになり、長男にあまり話しかけてあげていなかった気がします。そんな状態でしたので、言葉の遅れは気になっていはいたものの、どうしていいかわからず、どうすることもできず、日々悩み、自分を責めて毎日泣いてばかりいました。

自分の母に相談しても「男の子は女の子より言葉は遅いんだから、そんなこといちいち気にしなくていい」と言われ、夫の両親に話しても、なんとなく話をそらされ、普段の躾の問題ではないかというようなことを言われるだけでした。何度相談しても、気休めを言われたり、攻められることを言われたり…なんの足しにもならないことを言われることに嫌悪感を抱くようになり、子どもの悩みを話すのは夫だけになりました。

しかし夫だって子育てに関する知識はなく、夫婦で悶々としていました。そのため3歳児健診で指摘された事により、何らかの解決の糸口が見つかったような気がして、先が明るくなったような気さえしました。

健診後にまずしたことは、区役所の保健福祉課に子どもと一緒に出向き、担当者の方に子どもの発達の状況を見てもらうことでした。子どもの発達の状況を見ていただいた後、今後の方向性について説明を受けました。その中の1つとして、地域にある相談支援事業所に赴き相談し、サービス等の利用計画案を作成、児童デイサービスの選定をし、必要に応じた頻度で利用をすることを提示されました。しかし、その第一歩として「障害福祉サービス等の申請書」を区役所に提出し、障害福祉サービス等の支給決定を受けなくてはいけませんでした。その時、初めて「障害」という言葉を我が子に向けられ、わかってはいたものの、少なからず戸惑いと抵抗感を持ってしまいました。

息子は障害児?その時夫婦で決断したこと

きっと、ほとんどの保護者の方は、我が子に「障害」という言葉を突きつけられた時に、複雑な思いが募るに違いありません。私も「夫と相談して、今後のことを決めます。」といって、区役所を後にしました。

私達が一番恐れていることは、息子が「障害者」としてのレッテルを貼られ、それを背負って一生過ごしていくのではないか、ということでした。そしてこれはとても繊細な問題であり、さらに3歳ぐらいの年齢ですと、家庭環境の影響や発達の個人差が大きいため、乳幼児健診などではよほど顕著な特徴がない限り、例えば「アスペルガー症候群」であるといったような、具体的な診断名を出されることはほとんどありません。

また、家族の意向が尊重されるため、相談まではするものの「障害」という言葉への抵抗感が強いため、サービスの利用を思いとどまるご家庭も多いと聞きます。

「夫にどう納得してもらおう…」私は、「障害」という言葉への抵抗感をすぐに乗り越え、サービスを受けたいという気持ちでいました。その理由は自分の経験にありました。私は小学校教諭でした。産休前に担任をしていたクラスには、アスペルガー症候群の診断を受けていた児童が3人いました。

しかし、その3人の子ども達の様子は明らかに違いました。その中の一人「R」は、一定の配慮は要するものの、他の児童と何ら変わりなく学校生活を送っていたのです。その後「R」は3歳児にアスペルガー症候群の診断を受け、その時から療育を受けていたことを知りました。
そのことを思い出し、その話も交えながら夫と話し合いを重ねました。私たちは、もし成長の過程で何の問題がなかったとしても、現在に適した教育を個別に受けることについて何の不利益もないと判断し、「障害児通所給付費支給」の申請をすることに決めました。過去を責めたり、変なプライドを持つことを止め、親として長男にできる限りのことをしてあげることを望みました。

そしてその決断は、子どもの大きな成長につながったのはもちろんのこと、親としての私達も大いに救われることになりました。

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